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日記と小説に似ても似つかないモノです
by kujikenjousiki


ぶぉらっしゃぁ

えー、専門ポシャった(゚ω゚)


orz


そんな具合な日々です皆様如何お過ごしでしょーか(゚Д゚)

まぁ、理由は色々とあるのですが。

簡潔に言ってしまえば金銭面という根本的過ぎる問題でしょーか(´ω`)

いやーまさかね、申請に2ヶ月かかるとかもうね、知らなかったしねorz

でもまぁ、今年はちゃんとした目標もあるので、そのためにすげー頑張ろうかなぁなんて思ってますw

あぁ、というわけで大して忙しくもなくなった今日この頃。

ブログの更新週1とか言った気もするけどやっぱ今までどおり。

気が向いたら書きます

もとい、ちゃんと数書いてこうと思います(´ω`)

やっぱりこういうのは、数書いて見て貰わなきゃ何の練習にもなりませんしねw

というわけで、バカしちゃった俺ですが皆様また読んでやってくだちぃorz
# by kujikenjousiki | 2006-02-01 03:25 | 日記

一時の休息

「さぁて……まいったわね」
 白銀に輝く月の中心に、小さな小さな影一つ。虚空に浮かぶ箒に腰を降ろした少女がポツリと呟いた。
「やってくれるわ此処の創世者も…まさかよりによって私にこの仕事させるなんてね…」
 膝の上に頬杖をつき嘆息する。
 彼女の瞳に映るのは、自分と全く同じ顔をした少女と、白い剣士の逢引シーン。細かく言えば眼下の少女の瞳の色や髪の毛の長さなど、微妙に違ってはいるのだが。
「どうしたモンかしらねぇ…」
 彼女の身に纏っている漆黒のローブの胸元から、一枚の紙片を加えた伝承とは全然違う姿をした小さな鵺、エルが顔を出す。
「どうしたもナニも、指令通りに動けばいいんじゃないの?」
 少女はエルから紙片を受け取ると、眼を通した。この作業は既に一度済ませてあったが、現場における現状と、自分が想定していた状況とが激しく違いすぎている。紙片にはこうある。曰く、〝突如出現した歪の除去及び、歪を起こした当事者の消却〟
 この当事者が一体誰を指すのか。それはもう疑問とする必要さえないはずなのだが、どうにも腑に落ちない。
「主~、早く動こうよ。僕もうこの世界飽きちゃった」
 何にもなくてつまんな~いとブーたれる小動物。人が考え事をしていてもどうやらお構い無しのようだ。
「うっさいわね…もう暫く様子を見ましょう。結果が見えているのなら、少し変化を求めたっていいでしょう?それに、これで終るわけがない」
 それに、そのくらいないと役得にもならない。
 彼女は呟くと、ブツブツと抗議するエルを無視してその場から飛び去った。
 
                            ◆

「………」
 深い深い深淵から意識が浮上する。
 どうやら、長い間眠っていたらしい。目覚めたネフェルに、ホルスが駆け寄った。
「良かった、やっと眼が覚めたのね?」
 彼女は安堵の息を吐いた。
「ホルス様…俺は一体…ここは…?」
 思考が霞がかったようにボンヤリとしていて、どうにも意識がハッキリしない。
「呆れた、あれだけの事をしておいて覚えていないだなんて」
 クスクスと、可笑しそうに笑う。
「ここは城内の医務室よ。あなたが怪我をして運びこまれるなんだて初めての事だから、馴染みは薄いでしょうけれど」
 ネフェルは頭を振って霞みを払い、意識を凝らした。そしてようやく、昨夜の闘いを思い出した。
「あ…俺は…負けた、のか…」
 自ら挑んだ闘い、そして初めての完全な敗北。未だ胸に残る斬撃による痛み。ガードしたはずなのだが、衝撃だけはどうにもならなかったのだろう。そして、その衝撃で槍は断たれ……。
「そうだ、ロンギヌスは!?」
 思い出し、慌てて周囲を探す。親父から受け継いだただ一つの形見、俺の…相棒。
 槍は、ネフェルが寝込んでいたベッドのすぐ横の壁に立てかけられていた。
 その姿は日光に照らされ美しく、何時もの通りの華々しき白銀の輝きを宿していた。
「ロンギヌス…どうして」
 ネフェルは傷の痛みも忘れ、呆然としていた。なにせ、この槍は昨夜の闘いで完全に両断されたはずなのだから。
「凍牙…いえ、白翁様が言っていました。貴方のロンギヌスは神器。神の創った物故にその性質は極めて異質で、武器一つにも意思がある、と。もしもその槍があなたを主人と認めていなければ、その力は発揮されない。ただの槍に成り下がるだろう、と」
 ホルスはネフェルを見つめ、凍牙に託された言葉を告げる。
「そして神器にはもう一つ、特別な機能があると。神器を手にする者は須らく、己が魂を半分武器に宿し、武器の意思と融合させる。それ故に、武器自体は不滅の物となるそうです」
 それは持ち主の意思とは関係無く行われる儀式。しかしネフェルはその説明に何らかの確信を得た様子だった。
「つまり…俺が死ぬ時までロンギヌスは」
 ホルスはコクリと頷いた。
「えぇ、貴方と共に在り続けます。そして、その槍の力を解き放つのもまた貴方次第なのです、ネフェル」
 ネフェルはその言葉を聴くと、ロンギヌスを抱きかかえ、俯いた。
「すまねぇロンギヌス…」
 不甲斐無かった。まだ主として認めてもらってすら居なかった自分。そして、強さに甘んじて浮かれていた自分が。そんな自分に付き合ってくれていたロンギヌスに申し訳無くて。情け無くて。恥ずかしくて。
負けた、という悔しさもあってか。
 ネフェルは初めて泣いた。
 心の底から、自分を見つめて。
「……ネフェル」
 どれほど泣いたのか、ようやく彼の嗚咽が落ち着きを見せた時、ホルスが口を開いた。
「聴きなさい、ネフェル」
 優しく、ホルスがネフェルの頭を撫でる。初めて自分の呵責に気づいた子供を慰める母親の様に、優しく。
「…貴方を今苛んでいるその苦悩はきっと大切なものです。考えて、悩み抜きなさい。そして、誇りを持ちなさい」
 ネフェルは少し驚いて顔を上げた。
「誇りを…?」
 こんな愚かな自分がどうして誇りなど持てるというのか。
「貴方は今まで闘い続けてきた。それが全て私や、貴方の愛する国のためであった事は誰よりもこの私とあなたが護り抜いた民達が知っています。そうでしょう?」
 ネフェルは答えられなかった。
 本当に?
 今まで彼はそう信じて闘ってきた。
 自分が愛する民達を護ると。
 傷ついても、例え死しても仲間を護り勝利を納める事が、王を喜ばす方法だと信じて。
 でも本当はどうだったのだろうか。
 全ては自分の名誉のためだったのかも知れない。自分が喜ぶための方法だったのかも知れない。汚く醜い自分のプライドを保持するために闘い続けてきたのかも知れない。たったそれだけのために、自分と同じ〝命〟を奪い続けてきたのかも知れない……。
「例えそうでもいいじゃないですか」
 驚きに眼を見張る。
 ホルスが、まるでネフェルの心を読んだかのように━━
「清濁を決めるのは、結局自分なんだと思います。それがどのようなモノであれ、貴方は結果を出したじゃないですか。だから、誇りなさいネフェル。私は貴方が立派であると信じているのですから」
 自分を疑って悩めるぐらい清廉な精神を持ったこの男を、一体誰が罵れるだろう。
 「きっと、自分を一度も疑わずに生きれる人なんていませんよ。でも、疑ったら、ちゃんと確認してください。ちゃんと、信じてください、自分を」
 ホルスはベッドのすぐ傍の窓を開けた。柔らかな陽射しと風、そして小さな子供達のはしゃぐ声が流れ込んでくる。
「ほら」
 ホルスが外に一声かけると、子供達が走り寄ってきた。
「こんにちはホルス様っ!」
 元気に挨拶をする子供達を、彼女は慈しみながら出迎えた。
「ホルス様、ネフェルお兄ちゃん元気になった!?」
「ネフェル様、怪我だいじょうぶー?」
 子供達が心配そうにホルスに訊く。
「えぇ、もう眼も覚めてすっかり元気みたい」
 挨拶してあげて、とホルスが促すと、窓を飛び越えて彼等はネフェルに駆け寄った。
 矢継ぎ早にネフェルを心配する声がかけられる。
「……これも貴方が導き出した結果なんですよ、ネフェル」
「……はい」 
 もう、苦悩する事もないだろう。
 そう考えたが、またも涙は止まらなかった。
 柔らかい陽射しと空気の中、彼は泣いた。

                               ◆

「…己が弱さに苦悩するくらいでないと、強くはなれんさ」
 陽射しから逃げるように木陰の中でのんびりと座っていた凍牙が呟いた。
 眠たげに、眼は半分閉じてはいるが、視線は窓の中の光景をちゃんと映していた。
 彼はとても良い戦士となるだろう。それこそ、英雄に。
 自分の弱さも強さもちゃんと知った上で、人は初めて成長できる。それを知らないままでは、限界も底辺も見えずにただ彷徨うだけ。そんな人間が強くなれるワケがない。
 一度は必ず敗北を知っておくべきだ、と彼は考える。その敗北がどのような容で訪れようと。だが、それに飲み込まれたままでは意味が無い。
 今のネフェルのように、どんな些細なきっかけでも立ち上がる事が出来れば、必ず成長するだろう。どの方向に成長するかは人次第。
 その道が例え愚道でも、歩き切らねば見えぬモノもあろう。
 ネフェルは運がいい。
 初めての敗北が、ホルスという絶大なる助けを得て、立ち上がる事ができたのだから。
「後は貴様次第だ、ネフェル」
 今まで子供達にせがまれて、瑞穂国に伝わる一般的な遊びを教えていたのだ。
 子供の世話など初めての事で、少々疲れたが、ただ、なんとなく心地良いモノがあった。
 この先、闘いに身を没する事なく、こうしてのんびりと過ごしたいと、望んだ。
 初めて幸せという感覚に浸った戦士は、穏やかな寝息をたて始めた。
 
# by kujikenjousiki | 2006-02-01 03:11 | 小説

約束

 誰かが呼ぶ声がした。
 聴くだけで心が暖かくなるような、優しい声。彼はその優しい主を護るために、強くなった。けして、誰にも傷つけさせないように。けして主が悲しまないようにと。
 あぁ、でも彼女は今泣いている。彼女の声に応えないと。彼女を、護らないと━━
   
            ◆

「ネフェル!」
 倒れたネフェルの頭を抱えるようにして、ホルスは彼の名を呼ぶ。
 此処は庭園。今この場に在るのは気絶しているネフェルとそれを介抱しているホルス。
 そして、その現状を巻き起こした男、凍牙の姿があった。
「凍牙様!一体何故こんな事になっているのです!」
 もっと早く止められたはずだが、闘いに見とれていたとは流石に言えず凍牙に経緯を問う。
「……なに、ただの訓練に過ぎません」
 二人の姿を見守っていた凍牙が答えた。
 そう、この闘いはあくまで訓練という名目で行われたのだ。それが例え真に命を賭けていようとも。それで死んでしまえばそれは事故でしかない。
「ネフェルが私に師事を請うてきたのでね、少し揉んでやっただけの事。そんなに心配しなくとも命に別状はありません」
 何も問題など無かったかの様に飄々と凍牙は言って除けた。
「で、ですがここまでしなくても…」
 命に別状は無いと聴いて安心したのか、ホルスは息を吐きながらネフェルの頭を撫でた。 気づけば、ネフェルの呼吸が休まっている。そのまま寝てしまったのだろう。
「…彼は強くなります。今よりもっと。ただ、闘い方を知らないだけだ」
 そう、彼は強い。
 基礎としての身体は十分に鍛え上げられているし、技の使い方や放つタイミング。自分の長所を生かした戦闘スタイルも完全に確立している。だが…。
「彼は今まで幾多の戦場を駆け巡っていたのでしょう」
 凍牙は、二人の横に胡坐で座り、ネフェルの顔を覗く。
「彼の戦術は全て、一対多を想定した物だ。一対一、つまり先程私と剣を交えた時のような、決闘での戦闘を想定していない」
 彼の闘い方は、全ての挙動が大味なのである。超高速で駆け巡るのは、そもそも相手の視界から姿を消すためだけではなく、相手の懐に潜り込みながら混乱した多勢を纏めて吹き飛ばすための予備動作に過ぎない。
「今まで彼は〝戦争〟しかした事がないように思えます。多勢を一人で相手にするための技が抜きん出ていて、それを活かせる場所はそこにしかなかったのでしょう」
 ネフェルの動作を全て思い出そうとするかのように眼を瞑る凍牙を、ホルスは驚愕しながら見つめた。
 驚かない方がおかしい。だってそうだろう?たった一度の戦闘で相手の癖からその戦闘経歴まで、闘いに関する情報全てを見切ってしまっているのだ。背筋に寒気にも似た戦慄が走る。
 この男は、本当に人なのだろうか。そんな愚問すら、奇妙な震えとなって胸を焦がす。
「貴方は、一体何者なのですか」
 深く考えたわけでもない言葉が、口をついて出る。
「……」
 その言葉に何を感じ取ったのだろうか。凍牙は音も無く立ち上がり、ホルスの前に立った。
「今一度、私は名乗りましょう。私は白翁凍牙。この身は貴女を護るために在る。貴女の横で生くる許可を戴きたい」
 ふわりと、羽毛が落ちるかの様な優しく、緩やかに、凍牙はホルスに跪き、右手を差し出した。
 ホルスはその動作に一瞬見惚れたが、戸惑う事なくその手を取った。
「…誓いなさい凍牙。貴公の御身は私を護るために存在し、貴公の命はシュシュバルツァのために散らす事を惜しまないと」
 ホルスの眼には、先程までの恐怖にも似た怯えはなく、ただ真摯に王として生きる者の輝きを纏っていた。〝王の眼〟が語る。彼の言葉が真意であると。
「御意に。決して違える事非ず」
 凍牙は再び、ホルスの手の甲に口付けをした。手の甲が紅く燃える。
 二千年前の小さな約束が今、果たされた。
 こうして、シュシュバルツァから失われた剣は、王の鞘の中へとその身を戻したのだ━━ 
# by kujikenjousiki | 2006-01-25 02:22 | 小説