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日記と小説に似ても似つかないモノです
by kujikenjousiki


大吉曜日

━━━ほらみろ、占いなんて当たりゃしない。

                           ◇

俺は今日、生まれて初めて告白した女の子にOKを貰い、生まれて初めてのデートってのをする事になった。
気分はもう最高で、必ず成功させてやるっていう気力に溢れている。
失敗したらどうしよう、なんて不安だってないワケじゃあないが、どうも今日はうまく行くような気がしてならない。
TVの朝の占いだって1位だったし、携帯の占いサイトだって俺の運勢は大吉だった。
そして何より━昨夜出会った紅い髪した小さな占い師に「あんた明日はきっとついてる」なんてよくわからない断言の仕方をされたくらいだ。きっとついてるに違いない。
占いなんかに左右されるわついてるついてないだのかっこ悪いかもしれないが、心の支えはなんかあった方がいいと、俺は思う。うん。
何しろ初デート、どんなカタチであれ自信が欲しいじゃないか・・・

                           ◇

「・・・・・遅くねぇか?」
キッチリ用意して、約束の時間の10時より1時間速く集合場所に来ていた俺も俺だが。
現在時刻・・・11時半・・・。
まさかすっぽかされたのか、とかただ遅刻なだけだろう、とか考えてみても相手はこない。
相手は・・・
「そういやアイツじゃねぇか・・・」
自分の迂闊さに頭を抱える事数秒、俺は集合場所であった喫茶店を飛び出した。
店のドアを勢いよく開けた時、ゴン!と中々小気味のいい音が響いた。
「痛ぅ・・・」
ドアを開けたその先に、俺の想い人が額を抑えて蹲っていた。
by kujikenjousiki | 2005-09-17 17:31 | 小説
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